SETPGID(2) |
Linux Programmer's Manual |
SETPGID(2) |
名前
setpgid, getpgid, setpgrp, getpgrp -プロセスグループの設定/取得を行う
書式
#include <unistd.h>
int setpgid(pid_t
pid
, pid_t
pgid
);
pid_t getpgid(pid_t
pid
);
pid_t getpgrp(void); /* POSIX.1 version */
pid_t getpgrp(pid_t
pid
); /* BSD version */
int setpgrp(void); /* System V version */
int setpgrp(pid_t
pid
, pid_t
pgid
); /* BSD version */
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (
feature_test_macros(7) 参照):
getpgid():
_XOPEN_SOURCE >= 500 || _XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED
|| /* glibc 2.12 以降: */ _POSIX_C_SOURCE >= 200809L
setpgrp() (POSIX.1):
_SVID_SOURCE || _XOPEN_SOURCE >= 500 ||
_XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED
setpgrp() (BSD),
getpgrp() (BSD):
_BSD_SOURCE &&
! (_POSIX_SOURCE || _POSIX_C_SOURCE || _XOPEN_SOURCE ||
_XOPEN_SOURCE_EXTENDED || _GNU_SOURCE || _SVID_SOURCE)
説明
これらのインタフェースすべてが Linux で利用可能で、これらを使ってプロセスのプロセスグループ ID (PGID) の取得や設定ができる。推奨の、POSIX.1 で規定された方法では、
getpgrp(void) で呼び出し元プロセスの PGID を取得し、
setpgid() で設定する。
setpgid() は
pid で指定したプロセスの PGID に
pgid を設定する。
pid がゼロならば、呼び出し元プロセスのプロセス ID が pid として使用される。
pgid がゼロならば、
pid で指定されたプロセスの PGID がそのプロセスのプロセス ID と同じに設定される。
setpgid() をプロセスをあるプロセスグループから別のグループへ移動するために使用する場合は (一部のシェルはパイプラインを生成する時にこれを行う)、両方のプロセスグループは同じセッションの一部でなければならない (
setsid(2) と
credentials(7) 参照)。この場合は
pgid は参加すべき既存のプロセスグループを指定し、そのセッション ID は参加するプロセスのセッション ID に一致しなければならない。
POSIX.1 バージョンの
getpgrp() は引き数を一つもとらず、呼び出し元プロセスの PGID を返す。
getpgid() は
pid で指定されたプロセスの PGID を返す。
pid がゼロならば、呼び出し元プロセスのプロセス ID が pid として使用される。 (呼び出し元プロセス以外のプロセスの PGID の取得が必要になることはめったになく、呼び出し元プロセスの PGID を取得するには POSIX.1 バージョンの
getpgrp() を使うのが望ましい。)
System V バージョンの
setpgrp() は引き数を一つもとらず、
setpgid(0, 0) と等価である。
BSD 仕様の
setpgrp() は
pid と
pgid を引き数にとり、
setpgid(pid, pgid) と等価である。
BSD 仕様の
getpgrp() は
pid だけを引き数にとり、
getpgid(pid) と等価である。
返り値
setpgid() と
setpgrp() は成功した場合、ゼロを返す。エラーの場合は-1 を返し、
errno が適切に設定される。
POSIX.1 バージョンの
getpgrp() は常に呼び出しプロセスの PGID を返す。
getpgid() と BSD 仕様の
getpgrp() は成功した場合プロセスグループを返す。エラーの場合は-1 を返し、
errno が適切に設定される。
エラー
-
EACCES
-
呼び出し元プロセスの子プロセスのプロセスグループ ID を変更しようとしたが、すでにその子プロセスは
execve(2) を実行していた。 (
setpgid(),
setpgrp())
-
EINVAL
-
pgid が 0 より小さい。 (
setpgid(),
setpgrp())
-
EPERM
-
プロセスを異なるセッションのプロセスグループに移動させようとした。または呼び出し元プロセスの子プロセスのプロセスグループ ID を変更しようとしたが、その子プロセスは別のセッションだった。またはセッションリーダーのプロセスグループ ID を変更しようとした。 (
setpgid(),
setpgrp())
-
ESRCH
-
getpgid() の場合:
pid がどのプロセスにも一致しない。
setpgid() の場合:
pid が呼び出し元のプロセスではなく、呼び出し元のプロセスの子プロセスでもない。
準拠
setpgid() と、引き数なしバージョンの
getpgrp() は POSIX.1-2001 に準拠している。
POSIX.1-2001 は、
getpgid() と、引き数なしバージョンの
setpgrp() も規定している。 POSIX.1-2008 は、この
setpgrp() の仕様を廃止予定としている。
引き数 1 個バージョンの
getpgrp() と引き数 2 個バージョンの
setpgrp() は 4.2BSD に由来し、 POSIX.1 では規定されていない。
注意
fork(2) で作成された子プロセスは、親プロセスの PGID を継承する。
execve(2) の前後で PGID は保存される。
各プロセスグループはセッションのメンバーであり、各プロセスはそのプロセスグループが所属しているセッションのメンバーである。
セッションは制御端末 (controlling terminal) を持つことができる。いつでも、セッションに所属するプロセスグループの一つ (だけ) が端末のフォアグランドのプロセスグループになることができ、残りのプロセスグループはバックグラウンドになる。端末からシグナルが生成された場合 (例えば、中断キーを叩いて
SIGINT が生成されるなど)、そのシグナルはフォアグラウンドのプロセスグループに送られる (シグナルを生成する文字の説明は
termios(3) を参照)。フォアグラウンドのプロセスグループだけが端末からの
read(2) ができる。バックグラウンドのプロセスグループが端末からの
read(2) を行おうとした場合、そのプロセスグループにはシグナル
SIGTSTP が送られ、そのプロセスグループは一時停止 (suspend) する。関数
tcgetpgrp(3) と
tcsetpgrp(3) を使うと、制御端末のフォアグラウンドのプロセスグループを取得/設定できる。
setpgid() と
getpgrp() は、
bash(1) のようなプログラムで、シェルのジョブ制御 (job control) の実装のためのプロセスグループを作成するのに使われる。
セッションが制御端末を持っていて、その端末に対して
CLOCAL フラグが設定されておらず、端末のハングアップが起きた場合、セッション・リーダーに
SIGHUP が送られる。セッション・リーダーが終了した場合には、その制御端末のフォアグランドのプロセスグループに所属する各プロセスにも
SIGHUP シグナルが送られる。
プロセスの終了によってプロセスグループが孤児 (orphaned) になった際に、その新たに孤児になったプロセスグループに停止しているメンバーがいれば、その孤児になったプロセスグループに属す全てのプロセスに
SIGHUP シグナルに続けて
SIGCONT シグナルが送られる。孤児になった (orphaned) プロセスグループとは、そのプロセスグループの全てのメンバーについて、メンバーの親プロセスが、親プロセス自身もそのプロセスグループのメンバーか、別のセッションに属すプロセスグループのメンバーのいずれかであるような、プロセスグループのことである。
関連項目
getuid(2),
setsid(2),
tcgetpgrp(3),
tcsetpgrp(3),
termios(3),
credentials(7)
この文書について
この man ページは Linux
man-pages プロジェクトのリリース 3.51 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。