SENDFILE(2) |
Linux Programmer's Manual |
SENDFILE(2) |
名前
sendfile -ファイル・ディスクリプタ間でデータを転送する
書式
#include <sys/sendfile.h>
ssize_t sendfile(int
out_fd
, int
in_fd
, off_t *
offset
,
size_t
count
);
説明
sendfile() は、あるファイル・ディスクリプタから別のファイル・ディスクリプタへのデータのコピーを行う。このコピーはカーネル内で行われるので、
sendfile() は、
read(2) と
write(2) を組み合わせるよりも効率がよい。
read(2) や
write(2) ではユーザ空間との間でデータの転送が必要となるからである。
in_fd は読み込みのためにオープンされたファイル・ディスクリプタ、
out_fd は書き込みのためにオープンされたディスクリプタでなければならない。
offset が NULL でない場合、
offset は
sendfile() が
in_fd のどこからデータを読み始めるかを示すファイル・オフセットを保持する変数へのポインタである。
sendfile() は復帰する時、この変数に最後に読み込んだバイトの次のバイトのオフセットを書き込む。
offset が NULL でない場合、
sendfile() は
in_fd のファイル・オフセットの現在値を変更しない。 NULL の場合は、ファイル・オフセットの現在値を
in_fd から読み込んだバイト数を反映した位置に調整する。
offset が NULL の場合、データは
in_fd の現在のファイル・オフセットから読み出され、ファイル・オフセットはこの呼び出しで更新される。
count は、ファイル・ディスクリプタ間でコピーするバイト数である。
in_fd 引き数は
mmap(2) 風の操作ができるファイルを指していなければならない (ソケットを指定することはできない)。
2.6.33 より前の Linux カーネルでは
out_fd はソケットを参照していなければならない。Linux 2.6.33 以降では、任意のファイルを参照することができる。通常のファイルの場合には
sendfile() はファイルオフセットを適切に変更する。
返り値
転送に成功した場合、
out_fd に書き込まれたバイト数を返す。エラーの場合、-1 を返し、
errno に適切な値を設定する。
エラー
-
EAGAIN
-
O_NONBLOCK を用いて非ブロック I/O が選択されたが、書き込みがブロックされた。
-
EBADF
-
入力ファイルが読み込みのためにオープンされていないか、出力ファイルが書き込みのためにオープンされていない。
-
EFAULT
-
アドレスがおかしい。
-
EINVAL
-
ディスクリプタが有効でないか、ロックされている。もしくは
mmap(2) 風の操作が
in_fd では利用できない。
-
EIO
-
in_fd から読み込んでいるうちに予期しないエラーが起こった。
-
ENOMEM
-
in_fd から読み込むための十分なメモリがない。
バージョン
sendfile は Linux 2.2 の新しい機能である。インクルードファイル
<sys/sendfile.h> は glibc 2.1 から存在している。
準拠
POSIX.1-2001 や他の標準では規定されていない。
他の UNIX システムでは、異なった方式やプロトタイプで
sendfile() を実装している。移植性を考慮したプログラムでは使用すべきではない。
注意
sendfile() を使って TCP ソケットにファイルを送ろうとしていて、ファイルの内容の前にヘッダ・データを付け加える必要がある場合は、パケット数を最小にして性能を上げるために
tcp(7) に記述されている
TCP_CORK オプションを使うといいだろう。
Linux 2.4 とそれ以前のバージョンでも、
out_fd は通常のファイルを参照でき、
sendfile() はそのファイルのオフセットの現在値を変更していた。
元々の Linux
sendfile() システムコールは大きなファイルオフセットを扱えるように設計されていなかった。その結果、Linux 2.4 で、ビット幅の大きな
offset 引き数を持った
sendfile64() が追加された。 glibc の
sendfile() のラッパー関数はカーネルによるこの違いを吸収している。
sendfile() が
EINVAL や
ENOSYS で失敗するような場合は、アプリケーションは
read(2)/
write(2) に戻すことを考えてもよいかもしれない。
Linux 固有の
splice(2) システムコールは、任意のファイル間 (例えば、ソケット同士) でのデータ転送をサポートしている。
関連項目
mmap(2),
open(2),
socket(2),
splice(2)
この文書について
この man ページは Linux
man-pages プロジェクトのリリース 3.51 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。