解説
LSI MegaRAID SAS RAID コントローラで様々なパラメータを表示するか、または変更するために
mfiutil ユーティリティを使用することができます。
mfiutil の各呼び出しは、コマンドの後に続く 0 個以上のグローバルなオプションから成ります。コマンドは、コマンドの後に追加オプション、または、必要な引数をサポートします。
現在の、1 つのグローバルなオプションがサポートされています:
-
-u
unit
-
unit は、動作しているコントローラのユニットを指定します。ユニットが指定されないなら、ユニット 0 が、使用されます。
様々なコマンドは、次の 2 つのオプションのいずれか、または両方を受け付けます:
-
-d
-
ドライブ識別子として数値デバイス ID を印刷 (表示) します。これは、デフォルトです。数値デバイス ID と enclosure:slot 情報の両方を印刷するために
-e との組み合わせで役に立ちます。
-
-e
-
enclosure:slot 形式でドライブ識別子を印刷 (表示) します。出力でなく入力の内容の形式の詳細については、次のパラグラフを参照してください。
ドライブは、2 つの形式で指定されます。最初に、ドライブは、デバイス ID によって識別されます。 show config で、設定されたドライブのためのデバイス ID を見つけることができます。 2 番目に、ドライブは、[ E xx:] S
yy として位置によって識別されます、ここで、 xx は、エンクロージャであり、 yy は、 show drives で表示するような、各ドライブのためのスロットです。
ボリュームは、2 つの形式で指定されます。最初に、ボリュームは、ターゲット ID によって識別されます。 2 番目に、ボリュームにおいて、 mfid0 のような対応する mfidX デバイスによって指定されます。
mfiutil ユーティリティは、いくつかの異なったグループのコマンドをサポートします。コマンドの最初のグループは、コントローラ、それが管理するボリューム、とそれが制御するドライブに関する情報を提供します。コマンドの 2 番目のグループは、コントローラにアタッチしている物理的なドライブを管理するために使用されます。コマンドの 3 番目のグループは、コントローラによって管理される論理的なボリュームを管理するために使用されます。コマンドの 4 番目のグループは、コントローラのためのドライブの設定を管理するために使用されます。コマンドの 5 番目のグループは、コントローラ全体の操作を管理するために使用されます。
情報のコマンドは、次の通りです:
-
version
-
mfiutil のバージョンを表示します。
-
show adapter
-
モデル番号のような RAID コントローラに関する情報を表示します。
-
show battery
-
バッテリバックアップユニットからバッテリに関する情報を表示します。
-
show config
-
コントローラのためにボリュームとドライブ設定を表示します。各アレイは、アレイが構築される物理的なドライブとともにリストされます。各ボリュームは、ボリュームがスパン (span) するアレイとともにリストされます。任意のホットスペア (hot spare) ドライブが設定されるなら、それらも同様にリストされます。
-
show drives
-
コントローラにアタッチされた物理的なドライブのすべてをリストします。
-
show events [
-c class][
-l locale][
-n count][
-v][
start [ stop]]
-
コントローラのイベントログからエントリを表示します。コントローラは、イベントの循環バッファを維持します。各イベントは、クラスとロケールでタグ付けをされます。
class パラメータは、指定されたクラスまたは高さでエントリへの出力を制限します。デフォルトのクラスは、“warn” (警告) です。最も低い優先度から最も高い優先度の利用可能なクラスは、次の通りです:
-
debug
-
デバッグメッセージ。
-
progress
-
バックグラウンド初期化、アレイの再構築、またはパトロール読み込みのような、長い実行操作のための周期的な進行の更新。
-
info
-
ドライブ挿入やボリューム作成などの情報メッセージ。
-
warn
-
いくつかのコンポーネントが失敗寸前であるかもしれないことを示します。
-
crit
-
コンポーネントは、失敗しましたが、データは、失われていません。例えば、ドライブの失敗のためにボリュームの品質が悪化しました。
-
fatal
-
コンポーネントは、データの損失をもたらして失敗しました。
-
dead
-
コントローラ自体が、死にました。
locale パラメータは、コントローラの指定された部分のためのエントリへの出力を制限します。デフォルトのロケールは、“all”です。利用可能なロケールは、“volume”, “drive”, “enclosure”, “battery”, “sas”, “controller”, “config”, “cluster”と“all”です。
count パラメータは、それぞれの低レベルな要求のためにコントローラからとって来るイベントの数を指定するデバッギングエイド (debugging aid) です。デフォルトは、15 イベントです。
デフォルトで、今までのところ前のシャットダウンからマッチするイベントのログエントリが表示されます。 start と stop パラメータを通して、この範囲を調整することができます。ログエントリ番号として、または、次の別名の 1 つとして、これらのパラメータのそれぞれを指定することできます:
-
newest
-
イベントログの最も新しいエントリ。
-
oldest
-
イベントログの最も古いエントリ。
-
clear
-
イベントログがクリアされてときからの最初のエントリ。
-
shutdown
-
最後のコントローラに対応するイベントログのエントリは、きれいにシャットダウンされました。
-
boot
-
最新のブートに対応するイベントログのエントリ。
-
show firmware
-
コントローラに存在するすべてのファームウェアイメージをリストします。
-
show foreign
-
インポートまたは削除のためのディスクで検出された外部の設定を表示します。
-
show logstate
-
イベントログに関連する様々なシーケンス番号を表示します。
-
show patrol
-
コントローラのパトロール読み込み操作の状態を表示します。
-
show progress
-
すべてのボリュームとドライブでアクティブな操作のための現在の進捗状況と完了予定時刻を報告します。
-
show volumes
-
コントローラによって管理されたすべての論理的なボリュームをリストします。
物理的なドライブの管理コマンドは、次の通りです:
-
fail
drive
-
失敗として
drive をマークします。
drive は、アレイの一部であるオンラインドライブでなければなりません。
-
good
drive
-
設定されていない良いドライブとして
drive をマークします。
drive は、既存のアレイの一部であってはなりません。
-
rebuild
drive
-
再構築のために適切な良いドライブとしていまでもアレイの一部である失敗した
drive をマークします。ファームウェアは、失敗したドライブが再構築されたドライブとしてマークされているなら、それ自体で再構築されたアレイを開始するべきです。
-
syspd
drive
-
形式 /dev/mfisyspdX のディスク SYSPD ブロックデバイスとしてホストのオペレーティングシステムにドライブを公開します。
good
drive で、このフラグをクリアします。
-
drive progress
drive
-
再構築または読み込みのパトロールのようなドライブ操作の現在の進行と推定される完了時間を報告します。
-
drive clear
drive {start | stop}
-
ドライブへすべて 0x00 文字の書き込みを開始するか、または停止します。
-
start rebuild
drive
-
drive で手動で再構築を開始します。
-
abort rebuild
drive
-
drive で進行中の再構築操作をアボートします。
start rebuild コマンドで再開することができます。
-
locate
drive {on | off}
-
drive に関連している外部の LED の状態を変更します。
論理的なボリューム管理コマンドは、次の通りです:
-
cache
volume [
setting [ value][ ...]]
-
setting 引数が供給されないなら、
volume のための現在のキャッシュポリシが表示されます。そうでなければ、
volume のためのキャッシュポリシは、変更されます。 1 つ以上の
setting 引数を与えることができます。いくつかの設定は、以下に述べられるような追加の
value 引数を取ります。有効な設定は、次の通りです:
-
enable
-
読み込みと書き込みの両方の I/O 操作のためのキャッシュを有効にします。
-
disable
-
読み込みと書き込みの両方の I/O 操作のためのキャッシュを無効にします。
-
reads
-
読み込み I/O 操作のためだけのキャッシュを有効にします。
-
writes
-
書き込み I/O 操作のためだけのキャッシュを有効にします。
-
write-back
-
キャッシュされている書き込みのためにライトバック (write-back) ポリシを使用します。
-
write-through
-
キャッシュされている書き込みのためにライトスルー (write-through) ポリシを使用します。
-
read-ahead
value
-
キャッシュされている読み込みのためにリードアヘッド (read ahead) ポリシを設定します。
value 引数に、“none”, “adaptive”または“always”のいずれかを指定することができます。
-
bad-bbu-write-cache
value
-
バッテリが死んでいるか、または失われているなら、 I/O 書き込みキャッシュの振る舞いを制御します。“disable”または“enable”のいずれかに
value 引数を設定することができます。一般的に、この設定は、システムの電源が失われるとき、データの損失を避けるために無効にされたままにするべきです。
-
write-cache
value
-
物理的なドライブ裏打ち
volume で書き込みキャッシュを制御します。
value 引数には、“disable”, “enable”または“default”のいずれかを指定することができます。
一般的に、この設定は、物理的なドライブが電源を失うとき、データの損失を避けるために無効のままにされるべきです。 RAID コントローラのバッテリのバックアップは、物理的なドライブの書き込みキャッシュにデータを保存しません。
-
name
volume
name
-
volume の名前を
name に設定します。
-
volume progress
volume
-
一貫性のチェックと初期化のような、ボリューム操作の現在の進行と推定される完了時間を報告します。
設定コマンドは、次の通りです:
-
clear
-
すべてのボリューム、アレイ、と予備を含む全体の設定を削除します。
-
create
type [
-v][
-s stripe_size]
drive[
, drive[ ,...]][
drive[ , drive[ ,...]]]
-
新しいボリュームを作成します。
type は、作成するボリュームのタイプを指定します。現在サポートしているタイプは、次の通りです:
-
jbod
-
指定された各ドライブのための RAID0 ボリュームを作成します。各ドライブは、別々の引数として指定されなければなりません。
-
raid0
-
単一ドライブリストにリストされたドライブを橋渡しする 1 つの RAID0 ボリュームを作成します。
-
raid1
-
単一ドライブリストにリストされたドライブを橋渡しする 1 つの RAID1 ボリュームを作成します。
-
raid5
-
単一ドライブリストにリストされたドライブを橋渡しする 1 つの RAID5 ボリュームを作成します。
-
raid6
-
単一ドライブリストにリストされたドライブを橋渡しする 1 つの RAID6 ボリュームを作成します。
-
raid10
-
複数の RAID1 アレイを橋渡しする 1 つの RAID10 ボリュームを作成します。各 RAID1 アレイのためのドライブは、単一ドライブリストとして指定されます。
-
raid50
-
複数の RAID5 アレイを橋渡しする 1 つの RAID50 ボリュームを作成します。各 RAID5 アレイのためのドライブは、単一ドライブリストとして指定されます。
-
raid60
-
複数の RAID6 アレイを橋渡しする 1 つの RAID60 ボリュームを作成します。各 RAID6 アレイのためのドライブは、単一ドライブリストとして指定されます。
-
concat
-
単一ドライブリストでドライブのすべてを連結することによって、単一ボリュームを作成します。
注意: すべてのボリュームタイプがすべてのコントローラによってサポートされるというわけではありません。
-v フラグが type の後に指定されるなら、より冗長な出力が、有効にされます。現在の、これは、設定を構築するとき、ドライブがアレイとアレイをボリュームに追加するように、ただ通知されます。
-s stripe_size パラメータによって、アレイのストライプ (stripe) サイズを設定することができます。デフォルトで、64K のストライプサイズが使用されます。有効な値は、512 から 1M ですが、MFI ファームウェアは、いくつかの値を拒否するかもしれません、
-
delete
volume
-
ボリューム
volume を削除します。
-
add
drive [
volume]
-
ホットスペアとして
drive をマークします。
Drive は、設定されていない良い状態でなければなりません。
volume が指定されるなら、ホットスペアは、そのボリュームを裏打ちするアレイに専念されます。そうでなければ、
drive は、このコントローラのためのすべてのアレイを裏打ちするグローバルなホットスペアとして使用されます。
drive は、それが後方となるつもりの全てのアレイで最も小さいドライブと同じくらいの大きさでなければならないことに注意してください。
-
remove
drive
-
サービスからホットスペア
drive を取り除きます。それは非設定されていない良い状態に置かれます。
コントローラ管理コマンドは、次の通りです:
-
patrol
command [
interval [ start]]
-
パトロール読み込みオペレーションモードを設定します。
command 引数として、次の値の 1 つを指定できます:
-
disable
-
パトロール読み込みを無効にします。
-
auto
-
ファームウェアによって開始される周期的なパトロール読み込みを有効にします。オプション
interval 引数は、パトロール読み込みの間を秒単位の間隔を指定します。パトロール読み込みが連続的に実行されるべきであるなら、
interval は、単語“continuously”から成るべきです。オプションの
start 引数は、次のパトロール読み込みのための開始時間と相対的な負でない値を指定します。間隔または開始時刻が指定されないなら、既存の設定が使用されます。
-
manual
-
ユーザによってのみ開始される手動のパトロール読み込みを有効にします。
-
start patrol
-
パトロール読み込み操作を開始します。
-
stop patrol
-
現在実行中のパトロール読み込み操作を停止します。
-
foreign scan
-
外部の設定をスキャンして、見つかった数を表示します。下記のコマンドのための
config 引数は、0 から見つかった合計の設定の数の形式を取ります。
-
foreign clear [
config]
-
指定された外部の
config または、
config 引数が提供されないなら、すべてをクリアします。
-
foreign diag [
config]
-
指定された外部の
config または、
config 引数が提供されないなら、すべての診断の表示を表示します。
-
foreign preview [
config]
-
インポートの後に、指定された外部の
config または、
config 引数が提供されないなら、すべてをプレビュー (下見) します。
-
foreign import [
config]
-
指定された外部の
config または、
config 引数が提供されないなら、すべてをインポートします。
-
flash
file
-
file 中に格納されたファームウェアがあるコントローラでフラッシュを更新します。リブートは、実施される新しいファームウェアを必要とします。
-
start learn
-
バッテリの再確認を開始します。これは、BBU モードにかかわらず、常に完全に空になっているバッテリの結果となるように思われることに注意してください。特に、コントローラの書き込みキャッシュは、たとえ透過的な学習モードが有効になってていも、再学習の間に無効にされます。
-
bbu
setting
value
-
バッテリの再確認に関連するバッテリバックアップ装置 (BBU) のプロパティを更新します。次の設定が設定可能です:
-
learn-delay
-
次にスケジュールされたバッテリの再確認イベントに遅延を追加します。この設定は、時間単位で与えられ、0 から 255 の範囲になければなりません。
-
autolearn-mode
-
周期的にバッテリの再確認を自動的に有効にするか、または無効にします。設定は、再確認サイクルを有効にするか、または無効にするために、それぞれ、“enable”または“disable”に設定されます。代わりに、0、1 または 2 のモードが、与えられます。モード 0 は、周期的に再確認を有効にし、モード 1 は、それを無効にします、そして、モード 2 は、それを無効にし、バッテリの再確認が実行されるべきであることを検知するとき、警告をイベントログにログ記録します。
-
bbu-mode
-
BBU の操作のモードを設定します。この設定は、すべての BBU によってサポートされていません。それがサポートされるところで、指定できる値は、1 と 5 の間の整数です。モード 1、2 と 3 は、透過的な確認サイクルを有効にし、一方モード 4 と 5 は、有効にしません。 BBU のデータ保持時間は、透過的な確認が使用されていないとき、より大きくなります。
使用例
書き込みのみをキャッシュするためのボリューム mfid0 のためのキャッシュを設定します。
mfiutil cache mfid0 writes
mfiutil cache mfid0 write-back
2 番目の囲いで最初の 4 つのディスクを橋渡しする RAID5 アレイを作成します:
mfiutil create raid5 e1:s0,e1:s1,e1:s2,e1:s4
JBOD としてコントローラの最初の 3 つのディスクを設定します:
mfiutil create jbod 0 1 2
2 つの異なった囲みから 2 つのディスクを含む 2 つのアレイを橋渡しする RAID10 ボリュームを作成します:
mfiutil create raid10 e1:s0,e1:s1 e2:s0,e2:s1
グローバルなホットスペアとして 4 のデバイス ID があるドライブを追加します:
mfiutil add 4
ボリューム mfid0 のためのホットスペアとしてメインシャーシのスロット 2 でドライブを追加します:
mfiutil add s2 mfid0
RAID のない SYSPD ブロックデバイスとしてディスクを再設定します:
mfiutil syspd 0
5 分後に開始する最初のパトロール読み込みが 1 週間に一度周期的なパトロール読み込みを実行するアダプタを設定します:
mfiutil patrol auto 604800 300
2 番目の検出された外部の設定を表示します:
mfiutil show foreign 1