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SEMOP(2)
SEMOP(2) FreeBSD System Calls Manual SEMOP(2)

名称

semopセマフォ集合に対する不可分な操作の配列

ライブラリ

Standard C Library (libc, -lc)

書式

#include < sys/types.h>
#include < sys/ipc.h>
#include < sys/sem.h>

int
semop( int semid, struct sembuf *array, size_t nops);

解説

semop() システムコールは、 semid が示すセマフォ集合に対して、 array が示す操作の配列を不可分に実行します。 array の長さは、 nops で示します。各操作は、 struct sembuf 内にエンコードされており、それは、次のように定義されます:

struct sembuf { 
        u_short sem_num;        /* セマフォ番号 */ 
        short   sem_op;         /* セマフォ操作 */ 
        short   sem_flg;        /* 操作フラグ */ 
};

array 内の各要素に関し、 sem_opsem_flg は、集合内のセマフォ番号 sem_num に対して実行される操作を決定します。指定した操作の動作を変更するために、 SEM_UNDOIPC_NOWAIT の値の論理和 ( OR) を取って sem_flg メンバに入れることが可能です。

実行される操作は、次のように sem_op の値に依存します:

  • sem_op が正であり、プロセスが別のパーミッションを持っている場合、セマフォの値を sem_op の値だけ増加させます。 SEM_UNDO を指定した場合、セマフォの終了時調整値を sem_op の値だけ減少させます。 sem_op についての正の値は、一般に、セマフォに結び付けられた資源をリリースするプロセスに対応します。
  • sem_op が負であり、プロセスが別のパーミッション持っている場合の動作は、セマフォの現在の値に依存します:
    • セマフォの現在の値が sem_op の絶対値と等しいかそれより大きい場合、セマフォの値を sem_op の絶対値だけ減少させます。 SEM_UNDO が指定されている場合、セマフォの終了時調整値を sem_op の絶対値だけ増加させます。
    • セマフォの現在値が sem_op の絶対値より小さい場合、次のどれかが発生します:
      • IPC_NOWAIT を指定した場合、 semop() は、戻り値 EAGAIN でただちに復帰します。
      • それ以外の場合、呼び出し元プロセスは、以下の条件の 1 つが満足されるまで休眠状態になります:
        • semctl(2)IPC_RMID オプションを用いて、他のプロセスがセマフォを削除した場合。この時 semop() は、戻り値 EIDRM でただちに復帰します。
        • プロセスが、捕らえるべきシグナルを受け取った場合。この時そのプロセスは、 sigaction(2) で定義されたように実行を再開します。
        • セマフォの値が sem_op の絶対値以上になった場合。この条件が真となった時、セマフォの値を sem_op の絶対値だけ減少させ、セマフォの終了時調整値を sem_op の絶対値だけ増加させます。

    sem_op が負の値であるときは、一般に、資源が利用可能になるのをプロセスが待っているということです。

  • sem_op が 0 でプロセスが読み込み許可を持つ場合、次のどれかが発生します:
    • 現在のセマフォの値が 0 の場合、 semop() は、ただちに復帰します。
    • IPC_NOWAIT が指定された場合、 semop() は、戻り値 EAGAIN でただちに復帰します。
    • それ以外の場合、呼び出し元プロセスは、以下の条件の 1 つが満足されるまで休眠状態になります:
      • semctl(2)IPC_RMID オプションを用いて、他のプロセスがセマフォを削除した場合。この時 semop() は、戻り値 EIDRM でただちに復帰します。
      • プロセスが、捕らえるべきシグナルを受け取った場合。この時そのプロセスは、 sigaction(2) で定義されたように実行を再開します。
      • セマフォの値が 0 となった場合。

プロセスが使用しているセマフォごとに、カーネルは、先に述べたように“終了時調整”値を保持します。自発的であれ非自発的にであれ、プロセスが終了するときには、各セマフォに対する終了時調整値がセマフォの値に追加されます。これを、プロセスが予期せず終了してしまう場合に資源を必ず解放することを保証するのに使用可能です。

戻り値

The semop() function returns the value 0 if successful; otherwise the value -1 is returned and the global variable errno is set to indicate the error.

エラー

semop() システムコールは、次の場合に失敗します:
[ EINVAL]
semid に対応するセマフォ集合がないか、システムで定義されるプロセス毎の SEM_UNDO 構造体の数の制限が超過しました。
[ EACCES]
操作とセマフォ集合のモードの間で不一致があるため、パーミッションが拒否されました。
[ EAGAIN]
セマフォは、そのプロセスを休眠状態に移行させる値ですが、 IPC_NOWAIT が指定されました。
[ E2BIG]
あまりに多くの操作が指定されました。[ SEMOPM]
[ EFBIG]
sem_num が集合に対する有効なセマフォの範囲内にありませんでした。
[ EIDRM]
セマフォの組は、システムから削除されました。
[ EINTR]
semop() システムコールは、シグナルによって中断されました。
[ ENOSPC]
システムの SEM_UNDO プール[ SEMMNU]が、いっぱいになりました。
[ ERANGE]
要求された操作によって、現在のセマフォの値[ SEMVMX]、もしくはその終了時調整値[ SEMAEM]が、システムによって課されている限界を越えようとしています。

バグ

semop() システムコールは、 IPC_NOWAIT が指定されていてもメモリ待ちでブロックすることがあります。
September 22, 1995 FreeBSD