しゃせいぶん
写生文

冒頭文

写生文の存在は近頃ようやく世間から認められたようであるが、写生文の特色についてはまだ誰も明暸(めいりょう)に説破したものがおらん。元来存在を認めらるると云う事はすでに認められるだけの特色を有していると云う意味に過ぎんのだから、存在を認められる以上は特色も認められた訳に相違ない。しかし認めらるると云うのは説明されるとは一様でない。桜と海棠(かいどう)の感じに相違のあるのは何人も認めている。その相違を

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夏目漱石全集10
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1988(昭和63)年7月26日