まんかんところどころ
満韓ところどころ

冒頭文

一 南満鉄道会社(なんまんてつどうかいしゃ)っていったい何をするんだいと真面目(まじめ)に聞いたら、満鉄(まんてつ)の総裁も少し呆(あき)れた顔をして、御前(おまえ)もよっぽど馬鹿だなあと云った。是公(ぜこう)から馬鹿と云われたって怖(こわ)くも何ともないから黙っていた。すると是公が笑いながら、どうだ今度(こんだ)いっしょに連れてってやろうかと云い出した。是公の連れて行ってやろうかは久しいも

文字遣い

新字新仮名

初出

「朝日新聞」1909(明治42)年10~12月

底本

  • 夏目漱石全集7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1988(昭和63)年4月26日