ケーベルせんせい
ケーベル先生

冒頭文

木(こ)の葉(は)の間から高い窓が見えて、その窓の隅(すみ)からケーベル先生の頭が見えた。傍(わき)から濃い藍色(あいいろ)の煙が立った。先生は煙草(たばこ)を呑(の)んでいるなと余は安倍(あべ)君に云った。 この前ここを通ったのはいつだか忘れてしまったが、今日見るとわずかの間(ま)にもうだいぶ様子が違っている。甲武線の崖上(がけうえ)は角並(かどなみ)新らしい立派な家に建て易(か)えられてい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夏目漱石全集10
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1988(昭和63)年7月26日