かいろこう |
薤露行 |
冒頭文
世に伝うるマロリーの『アーサー物語』は簡浄素樸(そぼく)という点において珍重すべき書物ではあるが古代のものだから一部の小説として見ると散漫の譏(そしり)は免がれぬ。まして材をその一局部に取って纏(まとま)ったものを書こうとすると到底万事原著による訳には行かぬ。従ってこの篇の如きも作者の随意に事実を前後したり、場合を創造したり、性格を書き直したりしてかなり小説に近いものに改めてしもうた。主意はこんな
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 倫敦塔・幻影の盾 他五篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 1930(昭和5)年12月20日、1990(平成2)年4月16日第23刷改版