ぶんげいのてつがくてききそ |
| 文芸の哲学的基礎 |
冒頭文
東京美術学校文学会の開会式に一場の講演を依頼された余は、朝日新聞社員として、同紙に自説を発表すべしと云う条件で引き受けた上、面倒ながらその速記を会長に依頼した。会長は快よく承諾されて、四五日の後丁寧(ていねい)なる口上を添えて、速記を余のもとに送付された。見ると腹案の不充分であったためか、あるいは言い廻し方の不適当であったためか、そのままではほとんど紙上に載せて読者の一覧を煩(わずら)わすに堪(た
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 夏目漱石全集10
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1988（昭和63）年7月26日