ひかりをおおうものなし ――けいりんふせいじけん――
光を覆うものなし ――競輪不正事件――

冒頭文

私はこの事件を告発して、いったん検察庁にまかせたのだから、検察庁の調査が完了して公式の発表が行われるまで、私自身の発言は差し控えるツモリであった。 ところが十月二日の朝日と毎日の朝刊に妙な記事が現れた。沼津地検へだした証拠物件の写真を静岡国警へ鑑識を依頼し、その結論として写真に修正が施されていないことが明かとなったので(以下は毎日の記事)沼津地検は私の出頭をもとめて事情を再聴取することになった

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第四八巻第一二号」1951(昭和26)年11月1日

底本

  • 坂口安吾全集16
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1991(平成3)年7月24日