ちっぽけなおの
チッポケな斧

冒頭文

戦後の日本は稀有な幸福にめぐまれていた。それは古い殻の多くのものを捨て去って、一応白紙の状態から自由な再建を試みることができるという幸福にめぐまれたのだ。むろん純粋な白紙というものではないが、とにかく一応はそう云ってもよろしかろう。古い日本には多くの悪因習があった。それを捨てて新しくよりよいものを再建できれば、敗戦も戦禍もツグナイができるし、むしろモウケをとることもできる。 この歴史的な再建、

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第四八巻第八号」1951(昭和26)年7月1日

底本

  • 坂口安吾全集16
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1991(平成3)年7月24日