「たか」
「鷹」

冒頭文

石川淳さんのように正しく古典を解するとともに正しく近代に身を置く人は稀にしかない。彼の文学の浪曼(ろうまん)性は虚妄の秩序をしりぞけること、いきおい悪の華を開花せしめる如くに展開するが、その思考の基は古代から現代に至るまで一貫して揺ぎのない正論の選択と発見の上に成り立っている。一朝一夕に思いついたところは微塵(みじん)といえどもないのである。彼の文学は怱卒(そうそつ)な現代に於て味読に価する最も意

文字遣い

新字新仮名

初出

「鷹」大日本雄辯會講談社、1953(昭和28)年7月20日

底本

  • 坂口安吾全集16
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1991(平成3)年7月24日