いぬがなくとガラスがこわれるか
犬がなくとガラスがこわれるか

冒頭文

今日は、科学の時代といわれる。 宇宙ロケットがとび、人工頭脳がそれを操作する。原子力発電機が、北極の厚さ二千メートルの氷の上に設置され、生命をもったヴィールスが、結晶としてとり出される、まさに科学の時代である。 しかし、これほど、科学科学とさわがれる世の中でありながら、それでは「科学とはなにか」ときかれると、きわめてあいまいな返事をされる人のほうが多い。ロケットも、人工頭脳も、原子力発電も

文字遣い

新字新仮名

初出

「暮しの手帖 昭和36年第3号」暮しの手帖社、1961(昭和36)年7月5日

底本

  • 極北の氷の下の町
  • 暮しの手帖社
  • 1966(昭和41)年7月1日