じんこうえいせいへくみとりぶねがいくはなし
人工衛星へ汲取舟が行く話

冒頭文

本当に人間が住める人工衛星が、いつごろ出来るかは、いまのところまだわからない。しかし十年ぐらいのうちには出来るだろうというのが、一般の見通しになっている。数年の誤差はあっても、いずれ出来るには、ちがいない ところでそうなった時に、一番困るのは排泄(はいせつ)物の処理である。小便の方は再生して純水をとり、それを水として使うとしても、カスが出る。それと大便とは、何とかして捨てなければならないが、人

文字遣い

新字新仮名

初出

「毎日新聞」1957(昭和32)年12月

底本

  • 中谷宇吉郎随筆選集第三巻
  • 朝日新聞社
  • 1966(昭和41)年10月20日