しられざるアメリカ
知られざるアメリカ

冒頭文

アメリカの中堅階級 一九五二年の夏、家族をつれてアメリカへ渡り、二年あまり、シカゴの郊外に住んでみた。アメリカは、それまでに、二回訪ねたことがある。しかし家庭をもった普通のアメリカ人の生活というものを経験したのは、これが初めてである。 外国の姿は、その土地に一応住みついて、いわゆる家庭づき合いをしてみないと、なかなかわからない。二年くらいの経験では、もちろん足りないが、それでも、以前の二回の

文字遣い

新字新仮名

初出

「心」平凡社、1955(昭和30)年3月

底本

  • 中谷宇吉郎随筆選集第三巻
  • 朝日新聞社
  • 1966(昭和41)年10月20日