こうだあやさんとしんせんどう
幸田文さんと神仙道

冒頭文

私は、小林勇君につれられて、二回ばかり小石川のお宅へ伺い、露伴先生にお目にかかったことがある。文さんにも、その時初めて会った。 露伴先生は、科学に非常に興味をもたれ、というよりも、先生自身が高次元の科学者であったという方がよいかもしれないが、私などの話にも、熱心に耳を傾けられた。その話は『露伴先生と科学』に一度書いたことがある。 私には、露伴先生が、明治以後の日本では、独自の人のように思わ

文字遣い

新字新仮名

初出

「幸田文全集第六巻月報」中央公論社、1959(昭和34)年1月

底本

  • 中谷宇吉郎随筆選集第三巻
  • 朝日新聞社
  • 1966(昭和41)年10月20日