こうせいのはなし
校正の話

冒頭文

今度アメリカで本を出してみて、校正のやり方が、まるで日本とちがっているのに、一寸面喰らった。 実は、三年ばかり前に、米国気象学会で、『気象学要綱』という本を出した時に、その一章を書いたことがある。それと、この春ハーバード大学出版部から『雪の結晶』を出したのと、経験は二回だけである。しかしその二回とも、やり方は全然同じだった。それでこれが少なくとも学術関係の出版では、通則と思われるので、その方法

文字遣い

新字新仮名

初出

「図書」1954(昭和29)年10月

底本

  • 中谷宇吉郎随筆選集第三巻
  • 朝日新聞社
  • 1966(昭和41)年10月20日