うしのまるやき
牛の丸焼

冒頭文

だいぶ前のことであるが、「西洋の浜焼」という題で、チリーのインディアンの料理の話を書いたことがある。 それはクラントウという料理であって、肉と野菜とを、幅の広い木の葉でつつんで、土の中に埋めて焼いたものである。これは現在、チリーの南端にあるフエゴ島の土人だけにしか残っていない料理法で、チリーやアルゼンチンの人たちもほとんど知らない、珍しい料理である。 ところが最近変った本が出て、南太平洋の

文字遣い

新字新仮名

初出

「あまカラ 第九十三号」甘辛社、1959(昭和34)年5月5日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆選集第三巻
  • 朝日新聞社
  • 1966(昭和41)年10月20日