ふぐのこと
河豚のこと

冒頭文

河豚のうまさ ふぐのうまさというものは実に断然たるものだ、と私は言い切る。これを他に比せんとしても、これに優る何物をも発見し得ないからだ。 ふぐのうまさというものは、明石鯛がうまいの、ビフテキがうまいのという問題とはてんで問題が違う。調子の高いなまこやこのわたを持ってきても駄目だ。すっぽんはどうだと言ってみても問題が違う。フランスの鴨の肝だろうが、蝸牛(かたつむり)だろうが、比較にならない。

文字遣い

新字新仮名

初出

「星岡 二十七号」星岡窯研究所、1933(昭和8)年2月

底本

  • 春夏秋冬 料理王国
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2010(平成22)年1月10日