うみのあおとそらのあお
海の青と空の青

冒頭文

春の海はひねもすのたりのたりとしているそうである。 夏の海はつよい太陽の光をはねかえして輝き渡る。海も光るが、沖の一線にもくもくと盛り上った入道雲も輝く、空も輝く、海に遊ぶ人々の肌も輝く。 秋の海は、夫を失った夫人のたたずまいのようにさびしい。 それから、冬の海は、かたくなに黙っているかと思うと、時たま心の底から怒りを発した如くに怒号する。逆浪は光をかんで暗黒の空に星影はなくとも、高波

文字遣い

新字新仮名

初出

「独歩 三、四合本号」1953(昭和28)年7月

底本

  • 春夏秋冬 料理王国
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2010(平成22)年1月10日