すみならびにすずりのぶつりがくてきけんきゅう |
| 墨並びに硯の物理学的研究 |
冒頭文
前文に於て墨流しの現象の物理学的研究を紹介した。その研究では墨を磨る時の水の成分のことは詳しく調べてあったが、用いた硯は普通市販の一定の硯に限られていた。それで寺田先生は次に、色々の墨を色々の硯で磨った時に、墨汁の膠質的性質が如何に変わるかという問題にとりかかられたのである。 墨汁の色々の性質特に墨色などが、墨の良否によるばかりでなく、硯の種類によっても著しく左右されるということは、画家及び書
文字遣い
新字新仮名
初出
「畫説」東京美術研究所、1938(昭和13)年1月
底本
- 寺田寅彦 わが師の追想
- 講談社学術文庫、講談社
- 2014(平成26)年11月10日