すみながしのぶつりてきけんきゅう
墨流しの物理的研究

冒頭文

寺田寅彦先生は晩年理化学研究所で、墨流しの研究に着手された。その研究の進行につれて、東洋に於て古代から使われている墨は、膠質学 ((1))上より見ても、非常に複雑で興味深い問題であることが分かり、この研究は「墨汁の膠質的研究」となって、先生の逝去の直前まで数年間続けられていた。その結果の前半は、既に理研欧文報告第二十三巻及び二十七巻にそれぞれ、 Experimental studies on

文字遣い

新字新仮名

初出

「畫説」東京美術研究所、1937(昭和12)年10月

底本

  • 寺田寅彦 わが師の追想
  • 講談社学術文庫、講談社
  • 2014(平成26)年11月10日