いえやす
家康

冒頭文

徳川家康は狸オヤジと相場がきまっている。関ヶ原から大坂の陣まで豊臣家を亡すための小細工、嫁をいじめる姑婆アもよくよく不埓な大狸でないとかほど見えすいた無理難題の言いがかりはつけないもので、神君(しんくん)だの権現様(ごんげんさま)だの東照公だのと言いはやす裏側で民衆の口は狸オヤジという。手口が狸婆アの親類筋であるからで、民衆のこういう勘はたしかなものだ。 けれども家康が三河生来の狸かというと、

文字遣い

新字新仮名

初出

「新世代 第二巻第一号」新世代社、1947(昭和22)年1月1日

底本

  • 桜の森の満開の下
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1989(平成元)年4月10日