「せんせいをめぐるはなし」について
「先生を囲る話」について

冒頭文

前に「先生を囲(めぐ)る話」を書いた時、その中に所々御弟子達の言動を点景人物の意味で入れておいた。ところがあの話は実は先生のいわれた言葉が重大なので、それは一段下げて書いておいた。しかしそれだけでは体をなさぬので、当時の先生を囲る周囲の気分を現わすために一々の話にちょっと前置きを書いたので、その点あの「話」には筆者のモンタージュが多少施してあることを御断りする。しかし先生の話された言葉自身は大体に

文字遣い

新字新仮名

初出

「寺田寅彦全集 第十六巻」月報「寅彦研究第十六号」岩波書店、1938(昭和13)年1月10日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第一巻
  • 岩波書店
  • 2000(平成12)年10月5日