せんせいをめぐるはなし
先生を囲る話

冒頭文

この話は大正十二年の暮から昭和三年の春までの四年あまりにわたって、私が先生の下で学生または助手として働いている間に、実験室や御宅の応接間で折にふれて先生から聞いた話を思出すごとに書き留めておいたものを整理したものである。書きかけて見ると何だか少し自分の事もかなり這入りそうで少し面はゆい所もあるが、一方考えてみるとこのような弟子の一人としてみたところの主観も少し混っている話が沢山集ったならば、かえっ

文字遣い

新字新仮名

初出

一~四「寺田寅彦全集 第六巻 寅彦研究第三号」岩波書店、1936(昭和11)年11月27日<br>五~九「寺田寅彦全集 第九巻 寅彦研究第四号」岩波書店、1937(昭和12)年1月1日<br>一〇~一六「寺田寅彦全集 第十一巻 寅彦研究第五号」岩波書店、1937(昭和12)年2月7日<br>一七~二一「寺田寅彦全集 第二巻 寅彦研究第六号」岩波書店、1937(昭和12)年3月1日<br>二二~二五「寺田寅彦全集 第八巻 寅彦研究第七号」岩波書店、1937(昭和12)年4月1日<br>二六~三一「寺田寅彦全集 第十四巻 寅彦研究第八号」岩波書店、1937(昭和12)年5月13日<br>三二~三七「寺田寅彦全集 第三巻 寅彦研究第九号」岩波書店、1937(昭和12)年6月5日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第一巻
  • 岩波書店
  • 2000(平成12)年10月5日