ゆきはしげんである
雪は資源である

冒頭文

昭和二十三年の冬、北海道の大雪山で雪の調査をしたことがある。 雪の調査というのは、雪の深さを測るのではなく、雪の目方を測る調査なのである。雪は春になれば、解けて川へ流れ出るわけであるが、その時どれだけの水量が出るかは、冬の終りに山に積っている雪の量できまる。目方は雪がとけて水になっても変らないから、雪の目方を測っておけば、雪解け水の量も分ることになる。 目的が川へ流れ出る水の量を予知すると

文字遣い

新字新仮名

初出

「国立公園 第二十九号」国立公園協会、1952(昭和27)年4月1日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第五巻
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年2月5日