のうぎょうぶつりがくやわ
農業物理学夜話

冒頭文

一 終戦と同時に、ニセコの観測所は、当然閉鎖の運命にあった。 親元の技術院が解散して孤児になったこの研究所は、まず解体するより仕方がない。それにこの研究所の使命であった航空気象学の問題も、もう我が国では用が無くなった今日、それを一つ育て上げてみようという天邪鬼(あまのじゃく)の篤志家も、今日の情勢ではまず求められない。 技術院の方は、戦争がすんだから戦時研究は中止、従ってその施設は取り壊

文字遣い

新字新仮名

初出

「農業技術 二号」1946(昭和21)年3月1日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第五巻
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年2月5日