たいせつざんにだい
大雪山二題

冒頭文

一 大雪山の雪 昭和二十二年の秋の話である。 その頃私は、資源関係の或る会の委員をしていて、日本の水資源の調査を一部やることになっていた。敗戦後の日本に残された資源のうちで一番大きいものは水であるから、これは少し真面目にやってみる必要がある。というので、柄にないことを始めたわけである。 ところで水資源のうちで、一番大きいものは、日本では、まず雪であるということに気がついた。これは我田引雪

文字遣い

新字新仮名

初出

大雪山の雪「随筆 四月号」随筆舎、1952(昭和27)年4月1日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第五巻
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年2月5日