ながおかとてらだ
長岡と寺田

冒頭文

長岡先生と寺田先生とは、学問のやり方でも、対世間的のすべての点でも、まるで正反対のように、一般に思われている。事実、外から見たところは、その世評のとおりである。そして外から見たいわゆる皮相の観が、案外ことがらの真をついていることが多い。両先生の仲は、決して良かったとはいえない。 しかし両先生とも、何といっても、大正昭和の日本における傑出した学者であった。お互いに尊敬すべき点は、ちゃんと尊敬し合

文字遣い

新字新仮名

初出

「寺田寅彦全集 第十三巻 月報13」岩波書店、1951(昭和26)年5月5日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第六巻
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年3月5日