きたぐにのはる
北国の春

冒頭文

ウィネツカは札幌と大体緯度が同じくらいで、風物にも似たところがある。とくに春は感じがよく似ている。ともに北国のおそい春であるが、それにもまた捨てがたい情趣がある。 二度目のウィネツカの春を迎えて、異国の生活にも大分馴れたが、やはり少し草臥れたのかもしれない。二十年間住んだ札幌のことなどが、時々思い出される。アメリカから北海道へというような気持で、北国の春を、思いつくままに綴ってみた。 ウィ

文字遣い

新字新仮名

初出

ウィネッカの早春「北海タイムス」1953(昭和28)年5月19日<br>北海道の山うど「北海タイムス」1953(昭和28)年6月7日<br>鰊「北海タイムス」1953(昭和28)年5月9日<br>バターの洪水「北海タイムス」1953(昭和28)年6月16日<br>弾丸道路「北海タイムス」1953(昭和28)年8月8日<br>バチラーさんの話「北海タイムス」1953(昭和28)年8月22日<br>エスキモーの生活「北海タイムス」1953(昭和28)年8月16日<br>北海道の位置「北海タイムス」1953(昭和28)年7月11日

底本

  • 中谷宇吉郎集 第八巻
  • 岩波書店
  • 2001(平成13)年5月7日