あんごしたん 01 あまくさしろう
安吾史譚 01 天草四郎

冒頭文

天草四郎という美少年は実在した人物には相違ないが、確実な史料から彼の人物を知ることはほとんどできない。 天草島原の乱のテンマツ自体が、パジェスの記事や、海上から原城を砲撃したオランダの船長の書いたものなどで日本の史料を補っているような有様であるが、史料の筆者たる日本人も外国人も、一揆(いっき)の内部のことには知識がなく、外部の日本人は特に切支丹(キリシタン)宗門の内情に不案内であるし、外国人も

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物 第七巻第一号」1952(昭和27)年1月1日

底本

  • 坂口安吾全集17
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年12月4日