あんごしたん 05 かつむすい
安吾史譚 05 勝夢酔

冒頭文

勝海舟の明治二十年、ちょうど鹿鳴館(ろくめいかん)時代の建白書の一節に次のようなのがある。 「国内にたくさんの鉄道をしくのは人民の便利だけでなくそれ自体が軍備でもある。多く人を徴兵する代りに、鉄道敷設(ふせつ)に費用をかけなさい」 卓見ですね。当時六十五のオジイサンの説である。当時だからこうだが、今日に於てなら、国防と云えば原子バクダン以外には手がなかろう。兵隊なんぞは無用の長物だ。尤(もっと)

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物 第七巻第五号」1952(昭和27)年5月1日

底本

  • 坂口安吾全集17
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1990(平成2)年12月4日