むしゃぶるいろん
武者ぶるい論

冒頭文

妖雲(よううん)天地にたちこめ、円盤空をとび、巷(ちまた)の天文家は戦争近しと睨(にら)んだ形跡であるが、こと私自身に関しては、戦争になっても余り困らない人間だ。どうなろうと運命だから仕方がないという考えは私の持病なのだから。もっとも、運命とみて仕方がねえやと言うだけで、火の子だの地震だの戦争に追いまくられるのが好きな性分ではない。 強いて闘争を好まず、ただ運命に対処する、という心掛けは、平穏

文字遣い

新字新仮名

初出

「月刊読売 号外版」1951(昭和26)年2月

底本

  • 堕落論・日本文化私観 他二十二篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2008(平成20)年9月17日