げさくしゃぶんがくろん ――ひらのけんへ・てがみにかえて――
戯作者文学論 ――平野謙へ・手紙に代えて――

冒頭文

この日記を発表するに就(つい)ては、迷った。書く意味はあったが、発表する意味があるかどうか、疑った。 この日記を書いた理由は日記の中に語ってあるから重複をさけるが、私が「女体」を書きながら、私の小説がどういう風につくられて行くかを意識的にしるした日録なのである。私は今迄(いままで)日記をつけたことがなく、この二十日間ほどの日記の後は再び日記をつけていない。私のようにその日その日でたとこまかせ、

文字遣い

新字新仮名

初出

「近代文学 第二巻第一号」1947(昭和22)年1月1日

底本

  • 堕落論・日本文化私観 他二十二篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2008(平成20)年9月17日