ネバダつうしん
ネバダ通信

冒頭文

「積雪水量測定の父」 ネバダ通信は、まずネバダ大学の教授チャーチ博士の話から始めなければならない。チャーチ博士の名を初めて知ったのは、一九三六年だったかと思う。国際雪氷委員会のエヂンバラ総会の報告書が届いた時、その総裁としてのチャーチ博士を初めて知ったのである。 それから今年で十三年になる。その間戦争の期間を除いて、ずっと親しい交際をつづけてきた。ただしそれは手紙と論文とによる交際であって、

文字遣い

新字新仮名

初出

「花水木」文藝春秋新社、1950(昭和25)年7月15日

底本

  • 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2002(平成14)年12月13日