ウィネッカのふゆ
ウィネッカの冬

冒頭文

ウィネッカの冬は寒い。緯度はだいたい北海道の真中くらいで、寒さも似たようなものである。 雪は少なくて、普通の年では五寸も積れば、皆大雪と思っている。三寸くらいのことが多く、根雪になることはまずない。気温が低いので、融けることは滅多にないが、風が相当強いので、二、三日もすると、皆蒸発してしまう。雪は少なくても、北海道くらいの寒さで、風が強いから、外はずいぶん寒い。しかし出歩きはたいてい自動車だし

文字遣い

新字新仮名

初出

「随筆」1955(昭和30)年2月

底本

  • 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2002(平成14)年12月13日