アメリカのたび |
| アメリカの旅 |
冒頭文
昭和二十四年七月六日に羽田を立って、三カ月の予定で、アラスカ、米本国、カナダを廻って、十月五日に、南方空路経由、羽田へ帰り着いた。その間、わずか九十日の間に、十年前ならば、一年以上もかかるくらいの旅行をして来た。 そういうことが出来たのは、ほとんど全部飛行機を使ったからである。飛行機というものが、ほんとうに実用になったことがよく分った。現在では、東京からアメリカまでの距離が、東京札幌間の距離よ
文字遣い
新字新仮名
初出
「花水木」文藝春秋新社、1950(昭和25)年7月15日
底本
- 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
- 岩波文庫、岩波書店
- 2002(平成14)年12月13日