まんしゅうつうしん
満洲通信

冒頭文

奉天の印象 八月の下旬思い立って、満洲へ出かけて見た。ちょっと急いでいたので、往きは航空会社の旅客機で、東京から奉天(ほうてん)瀋陽まで飛んだ。 今度の満洲行は、私たちがこの十年近く手を染めている低温科学の色々な問題に関連して、厳寒の満洲の野に働く人たちから、実地の問題について教えを乞い、今後の連絡にも資しようというつもりであった。それでその方面の研究に前から着手している満鉄の方と連絡をとる

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1940(昭和15)年10月13日~16日

底本

  • 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2002(平成14)年12月13日