みんぞくのかんたん
民族の感歎

冒頭文

斎藤さんの文学や、学問に理会のおそかったことが、私一代の後悔でもあり、遺憾でもある。勿論今の人たちのうちでは、私などが最長い愛読者であるには間違いない。ただその研究・作物を愛する道を知ることの遅れたことが、どんなに私の損失になっているかわからない。作家から言っても、千樫・赤彦と移って、其後、斎藤さんの具有する諸相を理会する時が、やっと到ったのである。それだけに、今における尊敬は、私にとって深刻なも

文字遣い

新字新仮名

初出

「図書」岩波書店、1952(昭和27)年4月

底本

  • エッセイの贈りもの 1
  • 岩波書店
  • 1999(平成11)年3月5日