ひきがえるをたべたはなし
蝦蟇を食べた話

冒頭文

山椒魚は手に入れるのが困難だが、反対にいくらでも手に入るもので、しかも、滅多に人の食わないもの、それでいて、相当の珍味を有するものと言えば、日本の蝦蟇(ひきがえる)だろう。 ひと頃、食用蛙というものが流行して、非常に美味いもののように言われたが、食用蛙などよりは蝦蟇の方が、よほど美味い。しかし、このことを知っている者は、案外少ないようである。 私がはじめて蝦蟇を食ったのは上海(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日