ゆうわもんだいにかんするれきしてきこうさつ
融和問題に関する歴史的考察

冒頭文

この小冊子は昨年「融和促進」を発行しました際の予約に基づいて、もっぱらいわゆる特殊部落の由来変遷を述べたものであります。今もなお往々にして存する差別観念は、まったく因習から導かれた感情の結果でありまして、もはや議論の余地はありません。したがって議論ではなるほどと承認して、表面差別待遇をしなくなりましても、因習の根本たる歴史が明らかになっていなかったならば、いわゆる感情が承知しないで、なお水と油とを

文字遣い

新字新仮名

初出

「融和問題叢書第二編」中央融和事業協会、1928(昭和3)年8月

底本

  • 差別の根源を考える
  • 河出書房新社
  • 2008(平成20)年9月30日