「ちゃわんのゆ」のことなど
「茶碗の湯」のことなど

冒頭文

もう三年ばかり前のことであるが、小宮(こみや)先生の紹介で鈴木三重吉(すずきみえきち)氏の未亡人の方から、『赤い鳥』に昔出ていた通俗科学の話を纏(まと)めて、一冊の本にしたいから、その校訂をしてくれというお話があった。 三重吉氏の『赤い鳥』が、児童文学とも称すべき新しい境地を拓(ひら)いて、児童の情操教育に偉大な足跡をのこしたことは、今更のべ立てるまでもない。しかし三重吉氏は、『赤い鳥』

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人之友」1942(昭和17)年6月1日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日