かがくえいがのいちこうさつ
科学映画の一考察

冒頭文

文化映画の中で特に自然科学を直接対象としたものを科学映画と呼ぶことにする。この科学映画は大別して大体二種類に分けられると思う。 その一つはいわゆる「博物もの」で、色々の動物や植物の生態をうつして見せるものであり、他の一つは「理化もの」とでもいうべきものである。 「博物もの」の中には「蛙(かえる)の話」とか「蚊(か)の一生」とか「春の呼声(よびごえ)」とかいう風なものがある。これらは

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日