かがくとぶんか
科学と文化

冒頭文

この頃自然科学上の色々の問題が、文科系統の学問をしている人々の口に度々上(のぼ)っているようである。自然科学が従来のように工業的方面にのみ利用されているのにあきたらず、もっと人間の精神活動の方面に、即ち広い意味での文化の向上に役立たせようという企ての一つの現れと思われる。 この運動は科学者の方面と、文学者の一部と両方の側から進められているように見える。科学者の側からは、盛(さかん)に科学

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学界」1937(昭和12)年12月1日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日