せんりがんそのた
千里眼その他

冒頭文

もう三十五年くらい前の話であるが、千里眼の問題が、数年にわたって我が国の朝野(ちょうや)を大いに騒がしたことがあった。私たちも子供心にその頃は千里眼を全く信じていた。子供たちばかりでなく、親たちも信じ、学校の先生たちも信じていたようであった。 この頃或(あ)る機会に、その頃千里眼問題に直接関係された先輩の一人から、当時の関係記録を借覧することが出来た。それを読んで行くうちに、私はこの問題

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋」1943(昭和18)年5月1日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日