ひかくかがくろん
比較科学論

冒頭文

一 研究における二つの型 科学が今日のように発達して来ると、専門の分野が、非常に多岐に分れて、研究の方法も、千差万別の観を呈している。事実、使われている機械や、研究遂行のやり方を見ると、正(まさ)に千差万別である。しかしそれらの研究方法を概観すると、二つの型に分類することができる。 その一つは、今日精密科学といわれている科学のほとんど全分野にわたって、用いられている研究の型であ

文字遣い

新字新仮名

初出

「寺田寅彦――比較科学論」新潮社、1959(昭和34)年4月25日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日