ひとりのむめいさっか
一人の無名作家

冒頭文

昭和十年発行の岩波版『芥川竜之介(あくたがわりゅうのすけ)全集』第八巻に「一人の無名作家」という短文がある。 七、八年前、北国の方の同人雑誌を送って来たことがあるが、その中の『平家物語(へいけものがたり)』に主題をとった小説が、印象に残っている。「今はその青年の名も覚えておりませんが、その作品が非常によかったので、今でもそのテエマは覚えているのですが、その青年の事は、折々今でも思い出しま

文字遣い

新字新仮名

初出

「西日本新聞」1955(昭和30)年7月18日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日