じんせいのらくじ
人生の楽事

冒頭文

左の一編は十一月十一日、府下芝区三田慶應義塾に於(おい)て福澤先生の演説したるその大意の筆記なり。 人には何か楽しむ所のものなかるべからず。旅行を好む者あり、閑居を貪(むさぼ)る者あり、遊芸を嗜(たしな)む者あり、書画骨董を悦(よろこ)ぶ者あり。尚(な)お之(これ)より以外には財産の増殖に余念なき者もあれば、功名利達に熱心なる者もあり。その他千種万様限りなき人事の運動は、浮世の人々がおの〳〵そ

文字遣い

新字新仮名

初出

「時事新報」1893(明治26)年11月14日

底本

  • 福澤諭吉著作集 第5巻 学問之独立 慶應義塾之記
  • 慶應義塾大学出版会
  • 2002(平成14)年11月15日