ひぐらしの鳴き声が涼しい。 わたしは、わたしのテーブルの前に坐(すわ)って料理をし、客はわたしのテーブルの前に坐っていた。 わたしは、料理をいつも自分で作りつつ食べ、客にもすすめる。 客は詩人であった。 どんな詩をつくるのかわたしは知らぬ。その詩人も、見せたことはないし、わたしも、見せてくれといったことはない。詩人だか、死人だか、わたしは知らぬ。ともかくも、