にぎりずしのめいじん |
握り寿司の名人 |
冒頭文
東京における戦後の寿司屋(すしや)の繁昌(はんじょう)は大(たい)したもので、今ではひと頃の十倍もあるだろう。肴(さかな)と飯(めし)が安直(あんちょく)にいっしょに食べられるところが時代の人気に投じたものだろう。しかし、さて食える寿司となるとなかなか少ない。これは寿司屋に調理の理解がないのと、安くして評判をとるために粗末(そまつ)になるからだろう。 現に新橋付近だけでも何百軒とあるであ
文字遣い
新字新仮名
初出
「独歩」1952(昭和27)~1953(昭和28)年
底本
- 魯山人の食卓
- グルメ文庫、角川春樹事務所
- 2004(平成16)年10月18日